撮影紀行 005 ― さんざめく ―

この一帯は元来豊かである。そう見えた。 蛇行した此処は、立ち枯れそうな幾本もの、それでも松の高いのが残っており、川と海が雑じりあう。湿地として、生態系の原風景とでもいえるように、2月の水面は水の動きの少ない浅い深さのとこ […]

撮影紀行 004 ― むかう ―

岩手 2018年2月撮影 変化を、変わらないを、いまを、撮影にむかう。岩手へ、宮城へ、福島へ。 毎回むかう先に背負っていくリュックには、カメラが2台と、レンズが5本。ノートとペンと他にも必要な備品などが存外にあり、けっし […]

撮影紀行 003 ― 合点のそぐわない ―

南下するために、道のない海岸線から少し林道のような狭い山側の、けれど海に開けた道を進んでいく。 岩場というか崖か崕と書くか、或いはガンケと云うような隆々として険しく、波と風に磨かれた一帯であった。動物の気配がない。鳥の気 […]

撮影紀行 002 ― 軋む ―

きし・む [2] 【軋▼む】 ( 動マ五[四] ) 〔「きし」の動詞化〕 ① 固い物がこすれ合ってきいきいと音を立てる。 ② いら立つ。 などと、広義にはそうある。 僕は道北の内陸の盆地で育ったから、海というものをほとん […]

撮影紀行 001 ― 違わず ―

2月。夜。早目にフェリーターミナルに到着した。苫小牧から乗船し、朝、陽が昇る前には八戸の港にいた。そこからすぐ、朝は珈琲を欲しがるのでコンビニエンスストアに向かい、そこの駐車場で、車の中で、岩手県の種差海岸へ向かう道順を […]